今日のおつまみが見つからなかったらこの本を読もう
お腹がすく本にはまっている。
お腹がすく、というか、おいしい?本?
かつ謎解き要素もあると食指が進む。
今回読んだ本は
Rのつく月には気をつけよう / 石持浅海
題名を見ただけでは「?」と思う人もいるかもしれないが、れっきとした「美味しい話」である。
あらすじ
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主人公の夏美と長年の飲み友達の熊谷と長江は家飲み仲間である。長江のつくる美味しい料理に合わせて、熊谷がセンスの良いお酒を持ってくる。3人は家飲みマンネリ化を防ぐために毎回ゲストを招いており、ゲストの悩みや相談事をお酒と一緒に解いていくショートストーリー。
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れっきとしたおいしい話である。
私はこの本を日曜日の夕方に読んで、お夕飯のメニューを変えたくなったほどに、おいしい本である。
牡蠣が食べたい、、、スモークサーモンが食べたい、、、ぎんなん、、、となった。
「Rのつく月」は英語の月で「R」がつく月のことを指している。
欧米では、夏場の方が牡蠣にあたりやすいという言い伝えがあり(日本にも近しいことわざがある)、この言葉が由来となっていると考えられる。
その牡蠣がこの本の1章。
1章から牡蠣が食べたくなる…。
題名にかかる物語が1章からくるのは珍しい?かも?
同じテイストの軽くて優しい文章が続くから、サクサク読める。本が苦手な人でも読みやすい。
この本には食材のあたたかさを感じる表現がでてくるわけではない。温度が高い料理ばかりではないから。牡蠣は生ガキだし。
でも、その食材や料理がその人の話に彩りを与えるという、本来の役割をひっそりと果たしているところに心があたたかくなる。
私も食道楽というくらい食べることは好きだし、おいしい食事を求めて外出することもある。
けれど、その食事がおいしいから幸せなのではなく、食事を囲んでお話を楽しむから幸せなんだということに気づく。このご時世だから特に。食事はあくまスパイスでなんだと。
この本もそのことを教えてくれる。
3人の曖昧な関係性だけでなく、ゲストの揺れ動く気持ちも、感情も、すべてを優しくまろやかにしてくれる食事が中心になければ成り立たなかったかもしれない。
そんな優しい気持ちにさせてくれる本でした。
お腹が空いているときには読まないことをおすすめします。笑