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努力なんて嫌いだ

暇があれば寝ていたい

水の時計、月明かり、ハルチカ

趣味 生き方

ハルチカシリーズとは打って変わって、とてもヘビーな作品。
本多孝好さんの「MOMENT」「WILL」に近いお話。

水の時計

 

水の時計 (角川文庫)

水の時計 (角川文庫)

 

 

 

簡単なあらすじ
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主人公の高村は高校を中退した不良。ルートワンという暴走族のリーダー格である。
ある事件から暴走族を追われることとなり、そんな時に葉月という少女に会う。
彼女は脳死判定をされたにも関わらず、満月の夜だけは機械を通して自分の言葉を伝えることができる。
彼女は高村にとてつもない「お願い」をする。
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メインテーマは「臓器移植」
結構重たいテーマですが、初野さんらしい現代風のタッチなので、
読んでいるうちはそんなに重たい思いもせず読み進められました。
ハルチカを書いている人とは思えない作品ですね・・・。

脳死判定をされた葉月が望んで自分の臓器の移植をお願いする。
そんな葉月も両親はおらず、親族もいない。
では、誰が脳死を受け入れて、延命措置を中止して、臓器提供を許可するのか?
基本的には親族の存在が欠かせません。
脳死」とは、「死んでいる状態」とイコールなのか?
そもそも「死んでいる状態」とは、どういう状態を指すのか?

葉月は「死んでいる」とは言い難い、三途の川の真ん中にいるような状態でした。
なぜか月の光を浴びている間だけは機械を通して話をすることができます。
耳も聞こえていて、意思もある。
でも、「脳死状態」のため、人工呼吸器は欠かせないし、自分の意思で動くことはできない。
それでも医療の上では「脳死状態」なのです。

 

私を苦しみから解放してほしい

葉月は願います。
死にたい。と。

もう、この状態でただただヘビーですよねぇw
死ねないんです。彼女は。
脳死判定をされていても、人工呼吸器を外す許可を出せる人がいないから。
一度始まった延命措置を止めることはできません。
そうして、生きているわけでも、死んでいるわけでもない、そして自らの命を絶つこともできない。
ただ、月の光を浴びている間だけは話せる。
そんな状態になってしまった彼女の選択は。

 

「どの状態までいったら死ねるのか」

自分の臓器を一つずつ移植していきます。
バンクに登録されている患者の中から独自にピックアップして、
さらに高村によって選定された患者に、移植をされます。
秘密裏に進められる選定作業と移植手術。

移植していくたびに葉月は自分の臓器を失います。

だんだんと包帯まみれになる葉月だけれど、まだ死なない。月明りの夜は話せてしまう。

私はいつ死ねるの?

 

各チャプターは移植される患者目線で話が進んでいきます。
一人として同じような境遇の方はいません。
けれどすべての人に共通するのは「移植をしないと治らない」ということと
「生活も激変する可能性があること」です。
病院暮らしから退院できるというレベルのお話ではありません。
日本からいなくなる。
ある家族が崩壊する。
など、いろいろな事情があります。

その事情をくみ取って、最適な患者に移植をする。
そんな役割を高村に託します。

なぜ、その役割が高村だったのか。
なぜ、高村でなければならなかったのか。
それも徐々に明かされていきます。

その種明かしが若干ファンタジーちっくで、突然現実味がなくなります。
私はそこで一瞬集中力が途切れました。
良い話だったんだけど、若干白けた。笑

まだまだ駆け出しの頃の初野さんの作品なので、許容範囲ですが。

 

そして最後に。
なで「月明かりを浴びている間だけ話せる」のに「水の時計」という題名になったのか。
それは、この本の後半に書いてあります。
が、ヒント。
月は海の満ち欠けを支配しています。

 

再読はあるかと言われれば、読みたいと思うけれど、
保存してまで読み返したい本ではないです。
この本を読むのであれば、本多さんの本を読む。
私ならね。笑

 

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