努力なんて嫌いだ

暇があれば寝ていたい

甘いお稲荷さんと甘い四人

 

2時間もかからずかるーく読んでしまいました。

表紙に惹かれた。

 

あまからカルテット

 

あまからカルテット (文春文庫)

あまからカルテット (文春文庫)

 

 

食べ物の表現がとても美味しそうで、1話目から読み終えるまで(今でも)お稲荷さんが食べたい。

無性にお稲荷さんが食べたい。

そんな、お稲荷さんのお話でした。(違う)

 

簡単にあらすじ

ーーーーーーーーーー

ピアノ講師の咲子、編集者の薫子、美容部員の満里子、料理上手な由香子。一見ちぐはぐな四人は女子校時代からの親友。困ったときはお互い様。みんなで助け合いながらそれぞれの困難を乗り越える推理小説

ーーーーーーーーーー

 

一応推理小説とはなっていますが、推理っぽくはありません。

坂木司さんの「和菓子のアン」っぽい感じです。

 

和菓子のアン (光文社文庫)

和菓子のアン (光文社文庫)

 

 

女性は年齢に関わらず集まればかしまし娘に早変わり。

お互いの趣味も、お互いの家庭環境も、そして、お互いの仕事も全く違うけれど、なぜか一緒にいるグループ、いまでもいません?笑

女性であれば、なんとなく理解がしやすいと思います。

この四人はそれぞれの悩みをそれぞれの方法で解決していきます。

みんな違うからこそ、結果にたどり着く道筋も全く違います。

ですが、誰もが親友の悩みのために奔走します。

 

その中心には必ず食べ物がありました。

美味しい食べ物、美しい食べ物、ときには失敗作もあるでしょう。

しかも登場する食べ物は高級な食べ物ではありません。

お稲荷さんや甘食など、身近で懐かしい食べ物ばかり。

そんな、日常を描いた作品です。

推理小説と思って読んじゃダメです。

なぜなら、本でしかあり得ないような偶然の産物による解決方法がたくさんあるからです。

この作品は、あくまで日常のお話、読むとちょっと心が軽くなって、昔の仲の良かった友達に連絡を取りたくなるような作品です。

あと、お稲荷さんが食べたくなる作品。

 

柚木麻子さんはこの作品ではじめて知ったので、他の作品も読んでみたいと思いました。

庶民、というとちょっと言い方が悪いですが、だれにでもある身近な日常を描くことがとても上手な方という印象を持ちました。

だから想像もしやすいし、なんとなく四人の親友のなかの一人になったような感じになります。

坂木さんと同じ系統の作品として、ほっこりしたい時、さっくりとほんよを読みたいときにおすすめです。

 

初心者向け。

玄人にはすこし足りない腹四分目くらいの作品です。

 

また読みたい、というより読んでしまうような作品です。

あの、お稲荷さんに会いに。

 

ーーー

 

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バイバイ、さよなら、ドビュッシー

タイトル忘れてた!!!

なので、てきとーにつけました。

てきとーすぎたか。



クラシック音楽の世界に詳しくないので、本を読むのには苦労をしました。
ですが、本を読んで映画を見るとその音が補完されてイメージが付きやすいです。


さよならドビュッシー

 

さよならドビュッシー (宝島社文庫)

さよならドビュッシー (宝島社文庫)

 

 

私、映画を見ていたと思っていたら、スペシャルドラマを見ていると先ほど発覚しました。
まじか。
どおりで映画っぽくないと思った。

映画も見てみたいですが、このスペシャルドラマと本について。

本はこのミス大賞を受賞しており、このミスらしい軽めの本でした。
主人公についてのイメージが付きにくいのが欠点ですね。
その、登場人物のイメージが今回の話のなかでは重要です。

簡単にあらすじ
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地主の大金持ちの家に生まれた香月遥は、母親の夢であったピアニストを目指し英才教育を受ける。
そして、従姉妹であるルシアもまたピアノを習っていた。
ルシアの両親は災害で亡くなったしまったため、遥の家で養女として育てられている。
遥とルシアは見た目にはそっくりの仲良しの義姉妹。
しかし、自宅の火事によってルシアと香月家の長を失い、遥も全身の大火傷を負う。
再度ピアニストを目指す遥だが、さらなる災難が降りかかる。
火傷を負った遥を支えるピアニスト兼講師の岬洋介がその災難の原因を解いていく。
----------

イメージとしては「葉桜の季節に君を想うということ」と近いです。
もしくは「イニシエーション・ラブ」かな。
映像化が難しい本だと思うので、ドラマを見たときはがっかりしました。
岬さんのイメージが東出昌大さんなのは割とあっていたのですが。。
脚本が大幅に変えられていたので、「ある一族」に関わるお話ではなくなっていました。
これは「ある一族の話」だから面白いのになぁ。
余計な登場人物を出してもったいないと感じてしまった。

さて、本では随所にピアノの曲が登場します。
なかでもキーなのはドビュッシー月の光でしょうか。
と、わかった風に言っていますが、ドラマを見るまでは全くどういう曲か不明でしたw
ドラマ見て、聞いて「あ、これか」と分かった程度。
おそらく、題名を聞くと曲が思い浮かぶ方のほうが楽しめる作品だと思いますが、
しらなくても十分楽しめます。
その面々に合わせたクラシック曲なのだろうけど、ほとんど知らない私にとってはちんぷんかんぷんでした。カタカナムズカシイネ。

多くを語れるような作品ではないですが、少しぞっとしたのは
アイデンティティー」が揺らぎそうだったからです。
その人たらしめているのは見た目なのか?中身なのか?
自分の夢は本当に自分の望む夢なのか?
親とは?子どもとは?その関係性とは?

奇しくも、私は今初野晴さんの「水の時計」を読んでいます。
もともとはハルチカシリーズ(これも音楽系の話だったなぁ)から、興味を持ったのですが、
親が子どもに与える影響の大きさと作用の甚大さを語った一編があります。

家族の在り方や、親の夢、子どもの夢、自分について、そして、似た相手について。
単なる推理小説ではなく違った視点からも楽しる作品でした。
でも、再読はないかな。

タッチは軽いので、初心者~中級者におすすめです。
ミステリー初心者には、このミスよろしく読みやすいと思います。
これもシリーズだから、シリーズものとして読み始めるのもおすすめです。

軽めの作品なので、感想も軽めに。

 

 

さよならドビュッシー~ピアニスト探偵 岬洋介~ [DVD]
 

 

 

 

過去の記事もよろしければ

 

 

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個人的に好きな本のおすすめ


本を読んだあと、その人になってしまうのも困りものですが、
新しく読むと前の本を忘れてしまうのも困りものです。
大切にしたい言葉や、忘れたくないセリフを「ぽんっ」と忘れてしまいます。

なので、紹介したい本は再度読み返そうと思います。
詳しい書評は後程なのですが、テイストと、読みやすさ、私の好みで簡単に分類しました。
本が苦手な方にも読んでもらいたい。ぜひ。

目次

じんわり温かくなる系
ほのぼの系
恋愛系
推理小説
その他
とっつきやすいけど苦手な有名作家

 

じんわり温かくなる系(泣ける系)

本多孝好さん
 この方の作品は何でも好きというくらい読んでいます。特に「MOMENT」「WILL」おすすめ。
野島伸司さん
 ドラマの脚本家のイメージですが。「スコットランドヤード・ゲーム」が良作。
橋本紡さん
 「流れ星が消えなうちに」どうやら「半分の月がのぼるころ」で有名らしいですね。
朝倉卓弥さん
 「四日間の奇蹟」「君の名残を(上・下)」長編なので、活字恐怖症でない人のために。
重松清さん
 有名な作家さんですね。「カシオペアの丘で」「流星ワゴン」が個人的なおすすめです。


ほのぼの系

坂木司さん
 「和菓子のアン」がとっつきやすくて面白い。
有川浩さん(恋愛系かも?)
 語らなくていいレベル。「ストーリーテラー」「阪急電車」後者は映画も好き。
森絵都さん
 「カラフル」後半にかけてひっくり返されるお話が多いです。
金城一紀さん
 「対話篇」薄くて読みやすい短編。活字恐怖症の人におすすめの軽さ。でも泣ける。
初野晴さん
 ハルチカシリーズはアニメ化もされていて本も面白い。軽いので活字恐怖症の人におすすめ。

 

恋愛系

新堂冬樹さん
 「忘れ雪」何度読み返したことか・・・。
市川拓司さん
 「いま、会いにいきます」が有名ですが、「ただ、君を愛している」のほうが好き。映画化されています。
飛鳥井千紗さん
 「タイニータイニーハッピー」よりも「アシンメトリー」をオススメ。20代後半~30代の女性に。
飯田雪子さん
 「夏空に、きみと見た夢」「ラストノート」市川さんのタッチで軽くした感じ。読みやすい。
辻仁成さん
 「サヨナライツカ」その他の作品も好きですが、性表現がオープンなので注意。
島本理緒さん
 「ナタラージュ」を超える作品はそのあとみないかもなぁ
大崎善生さん
 「パイロットフィッシュ」「アジアンタムブルー」「ディスカスの飼い方」鬱っぽい恋愛小説。
石田衣良さん
 「美丘」かなぁ。辻さんそのままに性表現だけ爽やかに書いている感じ。

 

推理小説

東野圭吾さん
 語らなくてもいいくらいですね。マイナーな「ナミヤ雑貨店の奇蹟」は初心者にも読みやすい。
誉田哲也さん
 「ストロベリーナイト」シリーズ。グロテスクな表現が多いので、覚悟してから読みましょう。
道尾秀介さん
 「向日葵の咲かない夏」を筆頭に、後半に向けてどんでん返しの作品が多い。ただし鬱っぽい。
宮部みゆきさん
 どちらかというとSFかな。。。「ブレイブストーリー」とかは有名だよね。

 

その他

機本伸司さん
 「神様のパズル」など、物理系のお勉強読み物。ハマる。難しいこと書いてあるけど、理解しないで進める。
乾くるみさん
 「イニシエーションラブ」が一般向け。その他は玄人向け。
百田尚樹さん
 「永遠のゼロ」とかだけど、長編の重たい話なので、覚悟が必要。
歌野晶午さん
 「葉桜の季節に君を想うということ」以外は微妙だった。笑


人気だけど私は苦手な有名作家

伊坂幸太郎さん(感覚的にあわないけど、初心者にはおすすめ。コメディ推理系。)
三浦しをんさん(君はポラリスを読んだけど、なにも感動しなかった。恋愛系。)
江國香織さん(恋愛系。個人的には苦手。)
辻村深月さん(長く鬱すぎて無理だった。テンションが低い時に。)
村上春樹さん(1Q84の初めの1ページだけで無理だった)
森見登美彦さん(恋愛系なんだろうけど、書き方が独特。)

 

こう見ると意外と少ない??
そして、有名どころが多いですね。
1冊だけ読んだ!みたいな人も多いので、記憶に残っていない本は流しています。
そういう本もそのうち書き出したいなぁ・・・

統計にしてみるとわかるのですが、ハイテンポの明るい本よりは、しっとりとした本が好きです。
あとは、会社とか現実味のあるお話よりは、現実の仮想の話、もしくはファンタジー系。

そのうちやりたいと思っているのが、
「個人の悩みに合わせて本をオススメする」ことです。
年齢や生活環境、どれくらい本を読むのか、活字恐怖症度合、飽き性かどうか、などなど
その時の気分によって異なるけれど何を読んでいいか分からない、という方のために本を選びたいと思っています。
余計なお世話かもしれないけれど、以外と需要あるのでは??
私は教えてほしいなぁ、と思うので。

個人的なオススメでなくて、その人に会った本を紹介したいな、と思っています。
自己啓発系にも手を伸ばすと良いのかもしれないけど、高いからなぁ。。。
読み放題などを使ってたくさん読むのもいいかもしれない。
私は本のあの感触が好きなので文庫で読みたいタイプですが、電子書籍にもそのうち挑戦してみます。

 

この作家さんどうなの?
とか、
この作家さんおすすめ!
などがあれば、コメントください。
喜びます!

 

 

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右岸を読み終わってちょっともやもやした話

長編小説第2部閉幕!
ようやっと全体を通した感想が書けます!

辻さん、今回ちょっと微妙じゃありませんでしたか。
何のために書いたのか本気で問いたい。
この性欲の塊め!!

 

右岸 上 (集英社文庫)

右岸 上 (集英社文庫)

 

 

 

右岸〈下〉 (集英社文庫)

右岸〈下〉 (集英社文庫)

 

 

 

簡単にあらすじ
---------------
子どもとは思えないほど超然とした兄・惣一郎を慕う妹・茉莉と隣人で幼馴染の九の物語。
右岸は九が主人公となります。
特別な能力を授かった九はその能力に振り回される人生を送ることとなる。
なぜ九は大切な人を亡くし続けるのか、九自身は救われるのか?
---------------


左岸よりもちょっと先のところまで書いてあるので、こちらをあとから読むのをオススメします。
種明かし、という意味合いではなく、右岸を先に読むと、九が主人公で茉莉はスピンオフ風になるかなぁ、と。
それよりは茉莉を主人公にしたほうが楽しめそうです。
あくまで個人的には。
ちなみに、「左岸」「右岸」と名付けられた理由がこちらで分かります。
なので余計に右岸をあとに読んだほうが良いかも。

 

さて、右岸は九の不思議な力と切っても切れないお話なので、少しSFの雰囲気があります。
前世の話、九が旅をしないといけない理由など、謎解きのようにかかれています。
そのあいだ間に茉莉への手紙や、日記のようなもの(黙示録)が挿入され、どんよりと暗い空気が続きます。
まぁ、人がぽんぽん死んでいくからなんだろうけど。
その対比として、九の周りには優しくて強い人がたくさんいるということも分かります。

 

もちろん、茉莉の存在も忘れてはいけません。

 

ですが、あくまで茉莉は左岸の人間なので、右岸の九と交わることはありません。
同じ時をずっと並行しているような存在。
右岸があるからこそ左岸が存在し、その逆もまた然り。
交わることはないけれど、なくなることもない。
お互いのそういう関係性を垣間見ました。

 

それにしても、性表現も体の表現もあからさまなのでとても読みにくかったです。
たしかに九にとってトラウマかもしれませんが、その度に行為に及ばれては無駄な描写が増えます。
というか、あまりに無駄な描写が多かった気がします。
茉莉の時もそう思ったけどね。

 

辻仁成さんは割と描写が開けっぴろげで隠すことがないのは承知でしたが。
が!!
ストーリーをぶち壊し、テーマがあやふやになってませんでしょうか?
これのメインテーマってなんだったんだろ?
冷静と情熱の間のように恋愛ものとして読むとイメージが壊れるので、SFと思って読むと割と読めるかもしれません。
(無理があるかな・・・)

 

それとも、あまりにも難しくテーマを織り込んでいるから理解しきれなかったのかな?

 

上巻を読んだ時点ではとても切なくなって、ぽろぽろと泣いてしまったのですが、下巻からはあまりに表現が飛んでいたので常に置いていかれている感がありました。
主人公であるはずの九の輪郭もぼやけてしまたので、やりすぎ感が否めない。。
超能力と性欲だけで生きている、みたいな。
まじで笑えない。

 

もう一回読んだらもしかしたら理解できるのかもしれないけれど、また読みたいとは思えない話でした。
読むとしてもしばらく先かな。

 

入りがこの作品だと、お二方に悪いイメージを持ちかねないので、他の作品を読んだ上でこの長編に挑みましょう。

 

 

ちょっと残念だったな。。。

 

 

左岸 上 (集英社文庫)

左岸 上 (集英社文庫)

 
左岸〈下〉 (集英社文庫)

左岸〈下〉 (集英社文庫)

 

 

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こちらから読むのをオススメします。

軽くて読みやすい。

 

冷静と情熱のあいだ―Rosso (角川文庫)

冷静と情熱のあいだ―Rosso (角川文庫)

 
冷静と情熱のあいだ―Blu (角川文庫)

冷静と情熱のあいだ―Blu (角川文庫)

 

 

 

サヨナライツカ、愛したことも愛されたことも思い出す話


大好きで大好きで思い入れの強い作品。
経緯としては西島秀俊さんが好きだったから見始めたと記憶している。
本が先だったかな?
もう、覚えていないくらいどちらの作品も好きで仕方ない。


サヨナライツカ


人は死ぬとき、愛されたことを思い出すのか、愛したことを思い出すのか

 

 

サヨナライツカ (幻冬舎文庫)

サヨナライツカ (幻冬舎文庫)

 

 

 

簡単にあらすじ
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好青年の東垣内豊は航空関連の会社に勤めるサラリーマン。
経済成長の著しいタイに単身赴任となり、そこで真中沓子と出会う。
豊には光子という婚約者がいるが、タイで沓子との逢瀬を重ねる。
自由奔放で魅力的な沓子に溺れまいと豊は別れを決意。
そして、数十年後に沓子と再会する。
--------------

あらすじを書こうとすると盛大なネタバレになるし、
感動的なシーンが感動できなくなってしまうので(私の力量の問題で)、この程度にとどめておこうと思います。

個人的に同じような経験をしたからこそ、この本に共感して仕方がないというのもありますが、その経験をする以前からも、私はこの本が好きでした。
理由は分からないけれど、あの薄い本の見た目に反して中身がディープだったからかも。
あまりに現実離れしていて、逆に清々しい。
本に関しては、読み終わってぽろぽろ泣きました。
自由奔放で魅力的な沓子さんの思いに泣けました。
(涙腺弱いんです)
(ちなみに映画でも泣きました)

 

自由奔放で魅力的でいることってどれだけ大変か。
実際、自由奔放に生きれるのって羨ましいと思いますか?
私は思いません。
どこまでも自由なキャンバスには、何を描いて良いのか分からなくなるんです。
描いたって描いたって描いたってなくならない空白を埋める作業はもはや苦痛です。
果てがない、その自由を生きることを選んだ沓子は強い。
そしてその沓子の強さは、弱い自分は求められていないとわかっているからこその強さです。
あぁ、沓子さん健気。

 

映画では、話というよりも、出演者を楽しむ色合いが強く出ていました。
バンコクのマンダリンオリエンタルのサマーセット・モーム・スイートの豪華さなどは、本で表されるよりも、実際に映像にしてもらえるほうが分かりやすいし、そのほうが楽しめる。
見たことのないような豪華さって、想像しにくいから。
そして、バンコクの空気感や、日本家屋の静謐さなど、そのコントラストはとても上手に表現されています。
そして、出演者も豪華。というか、ぴったり。
中山美穂さんは素敵ですね。
西島さんと豊のイメージもぴったり。
素朴で好青年で、笑顔が素敵で。あの。あの。あの背中。あの筋肉
・・・うん、これくらいにしておこう。


全体的に、思い出風なのか、バンコクの空気感なのか、夢の空間の話だからなのか、全体的に霞んだ画面のままストーリーが進みます。
だからなのか、声が聞き取りにくいときも多々ありますが、それもまた雰囲気なのかな、と。
沓子のミステリアスな感じや、サマーセット・モーム・スイートの豪華さ、街の空気との落差など、コントラストが強い作品なのでその演出かもしれません。

 

数十年後の豊と沓子も本人が演じているので、顔と年齢があっていないような綺麗さですが、おそらく必要以上に老けさせなかったのだと思います。
老けることなく歳をとりそうだから。
見た目で数十年の時を飛ばすのではなく、二人の間に流れるギャップでもう関わることのできない二人を知ってほしいと思います。
右岸と左岸のようだ。笑


本と映画では、印象が違うのは仕方がありません。
時間の制限のある映画では、推敲も演出も仕方がない。
この作品も、本から入るほうが良いのかもしれないと思っています。
本の世界観を大きく崩すことなく、表現を極端にしているので。
「うわ、そこ削ったらだめでしょ・・・」
というところもさっぱりと削られています。
だからこそ、原作を読んでその削られたところの知識をもって映画に挑むほうが、より楽しめるのでオススメ。

 

 

不倫(この段階では浮気)は絶対に許されるものではないし、そんな人滅びればいいと思っています。
私もその行為を恥じていますし、もう絶対にしないと誓っています。
けれど、不倫の本だからという理由だけではなく、私はこの本を大切にしてしまうと思います。
何十年たっても逢ったらその時の思いが溢れてしまう豊や沓子のように、
私の思い出も彼らと一緒にそっとどこか奥に閉じ込めてほしいから。

大好きな本だけれど、絶対に読んではいけない本。

 

 


サヨナライツカ

人は死ぬとき、愛されたことを思い出すのか、愛したことを思い出すのか

私はきっと
  愛されたことを思い出す。

 

 

 

 

 

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右岸と左岸のそれぞれ

まだ左岸だけだけれど、よければご覧ください。

 

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そこに僕はいた (新潮文庫)

そこに僕はいた (新潮文庫)

 

 

 

代筆屋 (幻冬舎文庫)

代筆屋 (幻冬舎文庫)

 

 

左岸を読んで江國さんがなんで苦手だったのか分かった

本好きだからなのか、理由は分からないけれど、個人的にどうしても治さないといけないと思っていることがあります。


「登場人物に性格が引っ張られること」


経験ある人、本当に連絡ほしいくらいです。
本を読み終わっても、しばらく「その人」になってしまうので、自分を失うこともあります。
やっぱり私半分魂が抜けているのかな?

この週末はとても久しぶりに予定がない日だったので、長編小説を読みました。
厚い本ってどうしても出社のときに持っていく気にならなくて、家で寝ていることが多い(^^;)
そんな寝かせていた本を引っ張り出しました。

「左岸(上・下)」

 

左岸 上 (集英社文庫)

左岸 上 (集英社文庫)

 
左岸〈下〉 (集英社文庫)

左岸〈下〉 (集英社文庫)

 

 

女性に人気の作家さん江國香織さんが書いている長編小説です。
左岸があるということは、右岸もあります。
かの竹之内豊さんが主演した「冷静と情熱のあいだ」でも共に執筆していた辻仁成さんが、対岸の右岸を書いています。

右岸は上巻までしか書いていないので、後日のレビューとします。
冷静と情熱のあいだは結構好きで、何回か読み直しました。
映画は観てないけど、いつか観たいなぁ。

 

今回もその冷静と情熱の間のような話を想像してました。
でもまぁ、題名から察するにちょっと暗いのかなって。(表紙の写真も暗めだから)
三途の川っぽい表紙から、手にするのを躊躇いがちです。
私は躊躇った。長編だし。
でも、結果としては、手に取ってよかったと思っています。


さて、私は江國香織さんの書く女性は、温度感がなくてぺらっぺらな感じがしているので苦手です。(やばい、タイトルの答えが早く出すぎた!)
いつまでたっても好きになれない。
読むのも結構苦痛。
頑張って何冊か読んだ。(有名どころは読んでいる)
でも、その温度のないぺらっぺらな感じだからこそ、私は彼女に引っ張られることなく読み進められました。
独特のタッチですが、第一者でありながら第三者目線を持つ女性って世の中多くないので、それはそれですごく面白い。


簡単にあらすじ
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子どもとは思えないほど超然とした兄・惣一郎を慕う妹・茉莉と隣人で幼馴染の九の物語。
左岸は茉莉が主人公となります。
幼くして亡くした惣一郎を倣い超然として我が道をゆく茉莉は、崩壊する家族を捨て遠くへ行くための旅に出ます。
行く先々での恋愛は、茉莉を超然とさせ、彼女の進むべき道を歩み続けます。
---------------

あらすじ書きにくいです^^;
一言でいえば
「男性と体の関係を持たないと気がすまない女の半生」
呆れるくらい男性と関係をもって、その度呆れるくらい男性を捨てて、よく飽きないなぁって思いました。
もちろんそこには兄の死と、夫の死が関係していないわけがないですが、それにしてもまぁよく足を開く。
自立していそうで男性に依存しないと生きてけない女性像がそこにはありました。

たしかに茉莉はかわいそうです。(可哀想ということも茉莉は嫌いそうだけど)

親しい男性をことごとくダメにしていきます。
今で言うサゲマンってやつですねぇ。
もともと男性がダメ男だった可能性は否定しませんが。
それでもことあるごとに兄に意見を求め、兄を頼りに生きる茉莉を私はうすら寒く思いました。

私もブラコンなので、兄を失った大きさは一生引きずるんだろうと予想はできます。
カリスマ性の高い兄弟であれば余計でしょうね。しかも幼少期。
同性の幼馴染の九にも嫉妬するくらいですし、大人になっても兄の部屋に戻ると恋しい思いが溢れてしまうのですから。
執着心というか、回顧的というか、いつまでも兄の亡霊につかまっている感じですね。
これが功を奏すのだから、そこまで考えていたとしたら恐るべき兄。
それは私も慕います。笑


さらに忘れてはいけないのが、場所です。
この本の舞台は福岡東京パリの3地点。
上巻を読んだ限りの右岸のパリとは同じパリでも様相が違います。
茉莉にとってのパリは「逃げ場所」です。
日常の自分から離れ、遠くへといける逃げ場所です。
だからこそ、茉莉は故郷に帰ってきてからもパリへと「逃げ」ることもありますし、
段々とパリも惣一郎も必要のない「本当に超然」とした自分に出会うことができます。
その変わり方はまさに蝶のようでした。
幼虫から蛹へ、そして蝶へと変貌をしていく茉莉は綺麗に羽ばたきます。

なんていうと、サクセスストーリーみたいですが、そうじゃないのがこの本。
読んでみれば分かります。
中身がない。けれど、それが女性の人生なんだと思う。

 

というかね、忘れちゃいけないのが九の存在なんですよ!

右岸を読むと本当に思うよ!!!
もう、茉莉ちゃんが九を忘れすぎて、九が可哀想だよ!!


左岸と右岸、なぜ女性が「左」だったのか?
そして、左岸と右岸、どちらから読んだほうがいいのか?
どっちも読んだ感想は、きちんと右岸を読み終わってからにしようと思います。

私はただ単に辻さんのほうが作品が好きだから江國さんを先に読んだだけです。笑
あと、自分も女性だからっていうのもあります。


上巻を読んだだけでも右岸はきゅーーーーっとなりました。
読み終わるときにはぽろぽろと涙を流していました。

辻さんの作品は確かに性があからさまなので、下品に思う方もいるでしょうが、
そこは目をつぶって(想像するから下品に思うんだし)、本人になればいいのにと思う。
男性の書く男性は生生しいし、逆に女性の書く女性は虚像がすぎる。

 

はやく右岸の下巻を読み終わらなければ・・・!

 

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映画化しているからブログが多いのかなぁ

 

冷静と情熱のあいだ―Rosso (角川文庫)

冷静と情熱のあいだ―Rosso (角川文庫)

 
冷静と情熱のあいだ―Blu (角川文庫)

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冷静と情熱のあいだ(通常版) [DVD]

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江國香織さんの本で読んだのは以下

あとは、短編で読んだなぁ

 

 

神様のボート (新潮文庫)

神様のボート (新潮文庫)

 

 

 

号泣する準備はできていた (新潮文庫)

号泣する準備はできていた (新潮文庫)

 

 

 

 

大人の描く夢と大人になってから描く夢のむずかしさ

小さいころに書いた夢
「お姫様になりたい」
「ケーキ屋さんになりたい」

それを叶えられた人ってどれくらいいるんだろう?
私の夢は
「小説家になりたい」

妄想も、文章を書くことも好きだったからだろうが、今の時点でこんな文章しか書けない私がそんな夢。
おかしくて笑える。
もちろん、小説家にはなっていない。

小さいころはどんな夢を描いても無料だ。
そして、それを叶えられる可能性も高い。

大人になった今、果たしてその可能性はどうなのか?

努力すればきっと叶う!とか、そんな根性論はいらない。(努力なんて嫌いだから)
この数十年培ってきた知識と人格は、果たして自分をどんな大人にしてくれるんだろう。
きっと子どものように自由な未来を描きながら変わっていくことは容易ではない。
関わる人も、影響を受ける人も、子どもの頃の何倍にもなるのだから。
けれど、大人も変わらないといけない。
変わらなければ、「今」においていかれてしまうし、いつまでも「過去」を生きることになる。
「過去」を「今」に近づけ、「未来」を先取りする。
でも、その「未来」だって誰かが過去に描いた「今」だ。
今を追いかけて、せっせと今を過去にする仕事をしている。
それが大人であり、人間。そして、時間という概念。


子どものときにはお金を考えなくてよかった。
自分の食い扶持は親が稼いできてくれる。
大人になると自分の食い扶持は自分で作るしかない。
自分か?周囲か?パートナーか?

そんなたくさんのしがらみの中、大人が描ける夢ってなんだろう。
大人になったからこその将来の夢ってなんだろう。

きっと、すごく現実的なものになるんだろうな。
(世界一周はすでに現実に、宇宙旅行ももう実現できる未来にあるし)
有限の世界の中で無限の夢を描く。
きっとそれは無限じゃなくて有限のものでしかない。

 

今、私がなりたいものといえば「忘れられない人になる」ことかな。
人は忘れる生き物で、忘れることで新しいことを覚えられる生き物だから。
頭にHDDかSSDを埋め込めればまた違うんだろうけど。
忘れることで人間の脳がもっているならば、忘れなくなったなら、それはこの大きさの脳では耐えられないし、つまりは、計算できないほどのデータになるんだと思う。
何ペタとかもきっと簡単に飛び越えていけるほど。
だからこそ、「忘れられない人」になりたい。
悪いことも、すべて忘れられないような、そんな人になりたい。
「過去」に名を刻むなんてかっこいいことは言わないから、
忘れられない人になれたら、きっと私は過去のなかで幸せに生きられるようになるんだと思う。
「過去」も「今」も「未来」も超越した、時間の概念がないどこかで。